関税、トレンド、転換点：USD/JPYとグローバル市場にとって変動の激しい週

今週の為替市場は、影響力の大きい経済イベントと高まる世界貿易の緊張が重なり、波乱含みの展開となっている。米国の実質GDPとコアPCE価格指数、英国の小売売上高、カナダのGDPなど、主要なマクロ経済指標の発表により、主要通貨ペアのボラティリティが予想される。特に注目されるのは、ここ数か月の下落トレンドが反転する兆しを見せているUSD/JPYである。しかし、特にドナルド・トランプ米大統領が輸入車と小型トラックに25%の関税を課す方針を発表したことを受け、全般的なセンチメントは依然として慎重である。この動きは、特に日本のような輸出依存度の高い経済圏を中心に世界市場を揺るがし、自動車貿易の流れを混乱させる恐れがある。テクニカル面とファンダメンタルズ面の双方で材料が揃っているため、市場参加者は方向性を示す手がかりを求めて、データと政策の動向を注意深く監視することになる。

影響の大きい経済イベント

木曜日 14:30 (GMT+2) – 米国: 実質GDP 前期比 (USD)

木曜日 14:30 (GMT+2) – 米国: 失業保険申請件数 (USD)

金曜日 9:00 (GMT+2) – 英国: 小売売上高 前月比 (GBP)

金曜日 14:30 (GMT+2) – カナダ: GDP 前月比 (CAD)

金曜日 14:30 (GMT+2) – 米国: コアPCE価格指数 前月比 (USD)

チャート分析

1月10日に158.866の高値に達して以来、USD/JPYは弱気のローソク足の連続と「フェイラースイング」として知られるテクニカル反転パターンを特徴とする持続的な下降トレンドにある。この弱気バイアスは、20日指数平滑移動平均線（EMA）が50日EMAを下回る「デッドクロス」の出現により、さらに裏付けられた。これは、一般的に中期的な弱気の確認と見なされている。

しかし、3月11日には、強気の「フェイラースイング」反転により、146.530の安値から反発した。 その後の高値148.173が、それまでの安値を上回り、150.138の抵抗線を明確に上抜いたことで、トレンドの方向転換の可能性が示唆された。

モメンタムインジケーターは、この強気な反転を裏付けている。モメンタム・オシレーターは100の閾値を上回り、相対力指数（RSI）は50の中立線を上回って推移しており、いずれも上昇傾向を示唆している。

しかし、値動きが50日EMAを下回ったままであり、20日EMAが再び50日EMAを上回るまでには至っていないことは注目に値する。この調整が行われるまでは、出現しつつある上昇トレンドの持続性を確認するには、ある程度の慎重さが求められる。

主要な抵抗線

買い手が市場を支配し続ける場合、トレーダーは次の4つの潜在的な抵抗線に焦点を移す可能性がある：

150.922: 最初の抵抗線は、2月7日の安値と一致する150.922と予測される。

152.181: 2つ目の価格目標は、標準的なピボットポイントの手法を用いて推定された週足の抵抗線（R3）に相当する152.181と見られる。

153.317: 3つ目の価格目標は、高値150.138から安値148.173までに引いたフィボナッチ・エクステンションの261.8%に相当する153.317と見られる。

156.497: 追加の上値目標は、高値150.138から安値148.173までに引いたフィボナッチ・エクステンションの423.6%を反映する156.497に設定される。

主要な支持線

売り手が市場を支配した場合、トレーダーは以下の4つの主要支持線に注目する可能性がある：

150.138: 最初の支持線は、3月19日にマークされた高値を表す150.138である。

149.195 2つ目の支持線は、標準的な方法で推定される週足のピボットポイント（PP）と一致する149.195に位置している。

146.530: 3つ目の下値目標は、3月11日の安値に対応する146.530である。

144.111: 追加の下値目標は、148.551から151.295までに引いたフィボナッチ・エクステンションの261.8%を反映する144.111である。

ファンダメンタル

ドナルド・トランプ米大統領が輸入車と小型トラックに25%の関税を課すことを発表し、日本、カナダ、EUなどの主要同盟国との貿易摩擦が激化し、世界市場は下落した。4月3日に開始予定の新たな関税に対しては、各国首脳から厳しい批判が寄せられ、報復措置の脅威も浮上した。アジア全域で自動車株が急落し、アナリストは、この動きが世界的な自動車需要を減退させ、車両価格を上昇させ、米国の製造業の雇用を奪う可能性があると警告した。全米自動車労働組合は政策を称賛したが、業界団体やエコノミストは、より広範囲の経済への影響と世界貿易システムへの潜在的な混乱を懸念している。

日本の石破茂首相は、米国が輸入自動車に25%の関税を課すという決定に対して、「あらゆる選択肢」を検討すると表明した。アナリストらは、この動きは輸出に依存する日本の経済に深刻な打撃を与える可能性があると警告している。トランプ大統領が発表した関税は来週から開始される予定であり、日本が米国への主要投資国であるにもかかわらず実施されることとなった。このニュースを受け、日本の自動車メーカーの株価は下落し、専門家は関税により日本のGDPが0.2%減少する可能性があると推定している。自動車は米国への日本の輸出の4分の1以上を占めており、国内賃金上昇の主要な推進要因となっている。

結論

市場が影響力の大きい一連の経済指標の発表に備え、地政学的および貿易関連のリスクが高まる中、トレーダーは引き続き神経を尖らせている。USD/JPYの値動きはトレンド反転の初期兆候を示しているが、テクニカル面での確認はまだ見送られている。一方、トランプ大統領が新たに自動車関税を課したことで、世界市場に新たな変動がもたらされ、輸出主導型経済と自動車株に大きな影響を与えている。主要な支持線と抵抗線が作用し、ファンダメンタルとセンチメントの両方に不透明感が漂う中、トレーダーは今週もデータに焦点を当てて機敏に動向を見守る必要がある。