岐路に立つUSD/CHF：中央銀行の政策が分岐する中、強気派は下落トレンドを打破できるか？

市場がカナダのコア小売売上高データの発表を待つ中、この主要イベントがCAD通貨ペアの値動きを激しくする可能性がある。長引く下落傾向を受けて、USD/CHFは引き続き注目を集めている。最近の値動きは反転の兆しを暗示しているが、テクニカル要因とマクロ経済要因は依然として対立している。このペアは重要な抵抗線を上抜けるかどうかが注目されているが、複数のインジケーターでは弱気のシグナルが依然として出ている。一方、スイス国立銀行（中央銀行）が5回連続で利下げを実施したことと、米国連邦準備制度理事会（FRB）が慎重に利上げを一時停止したことによって示されるように、中央銀行のスタンスが相違してきていることが、見通しをさらに複雑化させ、トレーダーは方向性の確認を警戒している。

影響の大きい経済イベント

金曜日 14:30 (GMT+2) – カナダ: コア小売売上高 前月比 (CAD)

チャート分析

USD/CHF通貨ペアは、2か月連続で一貫した下降圧力下にあり、高値切り下げと安値更新のパターンが特徴的である。これは、テクニカルおよびマクロ経済の両方の影響によるものだ。3月20日に0.87546の直近の安値を付けた後、同ペアは現在、0.88628付近の重要な短期抵抗線に近づいている。このスイング高値を上回る動きが確認されれば、反転の可能性を示し、新たな強気トレンドの形成を示唆することになる。

しかし、テクニカルインジケーターは弱気相場を裏付ける傾向が続いている。値動きは20日および50日の両指数平滑移動平均線の両方を下回っており、下落傾向が続いていることを示している。モメンタム・オシレーターも100の閾値を下回っており、強気相場への根拠がないことを示している。一方で相対力指数（RSI）は中立の50のマークを下回っており、継続的な売り圧力と限定的な需要を浮き彫りにしている。

主要な抵抗線

もし強気派が市場を支配することになれば、トレーダーは以下の4つの潜在的な抵抗線に注目する可能性がある：

0.88628: 最初の抵抗線は、3月14日にマークされた高値を反映する0.88628に設定される。

0.89111: 2つ目の価格目標は、2月25日に形成された安値を表す0.89111である。

0.89919: 3つ目の目標価格は標準的なピボットポイントの手法を用いて算出された週足の抵抗線（R3）と一致する0.89919に設定される。

0.90535: 2月19日にマークされた高値を表す0.90535に追加の価格目標が設定される。

主要な抵抗線

引き続き弱気市場が維持される場合、トレーダーは以下の4つの潜在的な支持線を考慮する可能性がある：

0.88216: 最初の支持線は、標準的な方法で算出された週足のピボットポイント（PP）に対応する0.88216である。

0.87546: 2つ目の支持線は、3月20日にマークされたスイング安値を表す0.87546と推定される。

0.87158: 3つ目の支持線は、標準的なピボットポイントの方法論を用いて推定された週足の支持線（S2）を反映する0.87158である。

0.85858: 追加の下値目標は、0.87550から0.88628に引いたフィボナッチ・エクステンションの261.8%を反映する0.85858である。

ファンダメンタル

スイス国立銀行（SNB）は木曜日、政策金利を25ベーシスポイント引き下げ0.25%とした。これは2024年3月以来5回連続の引き下げとなる。SNBは、インフレの低迷と、特にトランプ米大統領の貿易政策に関連した世界的な不確実性の高まりを理由に挙げた。この動きは市場の予想に沿ったものであったが、SNBのマルティン・シュレーゲル（Marting Schlegel）総裁は、特に関税と世界経済の成長をめぐって「著しく」不確実性が高まっていると指摘した。決定を受けてスイスフランは若干下落した。アナリストらは、インフレリスクが依然として下方に偏っていることから、今回の決定がSNBの利下げサイクルの終了を意味する可能性があると見ている。SNBはまた、必要に応じて為替市場に介入する用意があることを改めて表明した。

一方、連邦準備制度理事会（FRB）は3月19日、トランプ大統領の初期の政策、特に広範囲にわたる輸入関税に起因する「異常に高い」不確実性を理由に、金利を4.25%から4.50%に据え置いた。パウエル議長は、これらの措置は一時的にインフレ率を押し上げる一方で、経済成長を鈍化させるリスクがあると警告した。FRBは年内に2回の利下げを予測しているにもかかわらず、2025年の成長予測を1.7%に下方修正し、インフレ見通しを2.7%に引き上げた。トランプ大統領はFRBの姿勢を批判し、即時の利下げを促した。パウエル議長は、経済指標が変化する中、FRBは様子見の姿勢を強調し、必要に応じて対応する準備ができていると述べた。

結論

結論として、USD/CHFは依然としてテクニカル面でもファンダメンタル面でも重要な岐路に立っている。最近の値動きはトレンドの反転を示唆しているが、弱気の指標が依然としてチャートを支配している。中央銀行が正反対の方向に向かっているため、市場心理は依然として不安定な状態が続いている。スイスではインフレ率が低調な中、金融緩和策が取られ、米国では不確実性が高まる中、米連邦準備制度理事会（FRB）は現状維持を続けている。トレーダーたちは、カナダのコア小売売上高を含む今後の経済データからさらなる明確性が出るのを待っているため、同ペアの方向性は、強気派が主要な抵抗を克服できるか、あるいはより広範囲の下降トレンドが再開するかに左右される。